【新卒採用】喫煙者NG?! 重い課題?! 入り口を敢えて厳しくする企業の意図とは?
ここ数年、売り手市場が続く新卒採用 。
母集団の形成に苦心されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マイナビやリクナビをはじめとする就活ナビが主流となっている現在、ネットを介して、少しでも多くの人数を集め選考に誘導したいという気持ちがある一方で、
敢えて採用のエントリーの基準を厳しくする企業も増えています。
今回は、媒体を使って選考の入り口をむやみに広げるのではなく、
企業の意図や採用方針のもとで、敢えて入り口を狭くしている企業をご紹介します。
星野リゾート
株式会社星野リゾートは、本社を長野県北佐久郡軽井沢町におく総合リゾート運営会社で、経営不振に陥ったリゾート施設や旅館の再生で知られています。
いずれの口コミサイトでも非常に好評価で、まっったく予約なんて取れません…
美しい…
お風呂ですよ これ…
この星野リゾートは、『喫煙者は採用しない』 という方針をとっています。
以前SNSを中心に話題になりましたが、なんとこの採用は1994年から取り組まれているそうです。
星野リゾートが喫煙者を採用しない理由とはどのようなものなのでしょうか。
少し長いですが、HPよりその理由を引用します。
■作業効率
喫煙者は血液中のニコチン含有量の減少により集中力を維持することができなくなります。 私のホテル業界での経験の中で、スタッフの集中力を維持させるため、勤務時間中に喫煙をさせる対応を行っているケースを何度も見てきました。これはスタッフ本人の能力の問題ではなく、中毒症状という病理的な原因によるものであり、結果的に社員の潜在能力を低下させています。
■施設効率
健康増進法の施行により、企業内の職場では分煙環境が必要になってきております。しかし、リゾート事業においては、少しでもスペースがあるなら顧客へのサービスに当てるべきです。
採算性の理由から厨房や作業用のバックスペースも節約している時に、社員の喫煙場所に投資するのは利益を圧迫することになります。
■職場環境
喫煙習慣のある社員には喫煙のための場所が設置され、より頻繁に休憩が認められるということは、喫煙習慣のない社員から見ると不公平に感じる問題です。
「なぜニコチン中毒の社員だけを企業は優遇するのか」とアルコール中毒の社員が主張したら、従業員食堂の横に社員用のバーを設置するのでしょうか。ニコチンが切れて集中できないという状況は、アルコールが切れて手が震えるという状況と差はありません。
正論過ぎてぐうの音もでません…
作業効率の低下を防ぐため、お客様へのサービスのため、社員間の不和を招かないため、
そういった意図により、『喫煙者を採用しない』という方針をとっています。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、デザイナー領域の新卒採用で『ViViViT』という採用媒体の利用を開始しています。
『ViViViT』というサービスは、デザインスキルや作品を検索し、
自社のピッタリあった人材を簡単にスカウトすることができるサービスのことです。
まずは、求職者・学生がサイト上にアップした作品を眺めながら、企業にピッタリのスキルを持った学生を探します。
気に入った学生を見つけたら、「話したい」ボタンを押し学生へのコンタクトを図ります。そして企業側と学生、お互いが「話したい」を押して初めてチャットが開始するのです。もちろん学生側からの「話したい」ボタンもあります。
この『ViViViT』サービスを導入したヤフー株式会社の採用担当者のコメントをご紹介します。
分かってきたのは、「デザイナー採用はそもそも人数を集めればいいというものではない」ということです。
母数を増やすというよりは、1人ひとりとの出会いを大切にして、しっかりとコミュニケーションをとっていく方が結果的にいい成果が生まれるなと感じています。
デザイナー採用をするには、多くの母集団を獲得できる従来の就活ナビは適していなかったということですね。学生の特徴やデザインを知りピンポイントにコンタクトを取ることで効率的な採用を実現しています。
ライフネット生命保険株式会社
ライフネット生命が新卒採用で実施したのは、『重い課題』です。これは社会的にも反響がありました。具体的には、学生にエントリーシートならぬ「エントリー論文」を提出してもらうというものです。
今年度の新卒採用のHPには以下のような内容で募集されています。
重い課題
AかB、どちらかの課題を選択して、提出してください。
課題A
最新のテクノロジーがこれからの生命保険会社に与える影響について、
プラス面・マイナス面の双方から考察してください。
課題B
「わたしの正直さ」
「わたしが応援される理由」
「わたしの弱さ」
上記3つのテーマを、それぞれ表現してください。
「重い課題」を実施した背景には、新卒採用が抱える一つの問題があります。
それは「新卒採用はとても非効率である」ことです。
人気企業の内定率は1%を下回り、99%の学生が落ちます。つまり、採用倍率100倍という採用活動に、企業も学生も割に合わないコストをかけているということです。
そこで、ライフネット生命は「本気で当社で働きたい学生」だけに受けてほしいと考え、「重い課題」を課すことにしました。採用へのエントリー自体は1万人以上いたので、通常なら3,000人くらいは選考に進んでもよさそうなものですが、「重い課題」を出したことによって、実際の応募人数はわずか50人。しかし、この50人は狙い通り、「本気で当社で働きたい」と思っている学生ばかりでした。
高いハードルを設けたことで、本気の人だけをあぶり出し、優秀な学生を効率よく採用することができたのです。
株式会社メルカリ
「明日からでも働ける人」というのを採用基準にしている株式会社メルカリ。
そんな株式会社メルカリが導入したのが『新卒GitHub採用』です。
GitHub(ギットハブ)とはソフトウェアを開発するプロジェクトに使用される、共有ウェブサービスのことを指します。
特別なESや履歴書の提出は必要なく、学生は
・ソースコード(GitHubアカウント等)、またはポートフォリオのURL(デザイナー)
・メールアドレス
の2つをエントリー画面に入力することでエントリーが完了します。
この手法のポイントが以下の3点にまとめられていましたのでご紹介します。
1.大手ナビ系媒体やHPに新卒採用ページも用意しない
情報が少ない中でも流入してきてくれるということは、候補者が “Go Bold” にチャレンジする意志がある方が多い。
2.入力項目が実力主義入力項目がソースコード(GitHubアカウント)やポートフォリオURL、そしてメールアドレスのみ。学歴や経験に関係なく、完全に実力主義の採用方法。仮に採用に至らなくても「メルカリってこんな採用手法やってるんだ!」というブランディングができればいい。
3.ミスマッチが少ない
レジュメを集めて母集団を形成する採用戦略とは異なり、ミスマッチがあまりないことがこの手法のメリットでもある。
企業が求める人材”しか”そもそも応募できないような仕組みをつくることで効果的な新卒採用を実現しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
採用目標人数に達しなかった場合、「もっと母集団を拡大しなければ」という発想になりがちです。
しかし、入り口に何の制約もつくらず、むやみにエントリー数を増やせば、
その分選考の手間が増えてしまう、という側面もあります。
また、入り口を狭めることは、エントリー数を減少させるというマイナス面だけではなく、
会社の方針を効果的にアピールすることや、志望度の高い学生を集めることに繋がります。
就活ナビサイトを使って母集団を拡大させるだけなく、
新しく仲間になる学生に何を求めるのか、新卒社員にどのような働きを期待するのか、将来どういったポストについてもらいたいのか
等々を考慮したうえで、エントリーの入り口を厳しくすることも一つの手段かもしれません。
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大石夏実
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