評価が高い社員は、そのまま昇格させてもよいのでしょうか?

当社では、毎年の人事評価結果をもとに昇格候補者を選んでいます。

一定期間、高い評価を続けている社員については、次の等級へ昇格させることを基本としています。

ところが実際に検討してみると、「現在の仕事では非常に高い成果を出しているが、一つ上の役割を任せられるかというと少し不安」という社員もいます。

反対に、現在の評価だけでは突出していなくても、より広い仕事を任せると力を発揮しそうな社員もいます。

人事評価の結果と昇格判断は、どのように考えればよいのでしょうか。

回答

人事評価は重要な判断材料ですが、「高評価だから昇格」と自動的に結びつけないほうがよいでしょう

まず分けて考えたいのは、
「現在の役割をどの程度果たしているか」と「一つ上の役割を担える状態にあるか」
です。
似ているようですが、同じではありません。
人事評価では通常、現在の等級や役割を基準として、
・どのような成果を出したか
・求められる行動をどの程度発揮したか
・担当する仕事をどの程度安定して遂行できたか
などを確認します。

一方、昇格すると、求められる仕事そのものが変わります。
そのため、現在の仕事で高い評価を得ていることは昇格の重要な条件になりますが、それだけで昇格を決めるとミスマッチが起こることがあります。

【たとえば、優秀な担当者がそのまま優秀なリーダーになるとは限りません】

営業担当者として非常に高い成果を上げている社員を考えてみます。
現在の等級では、
・自分で顧客を開拓する
・顧客の要望に対応する
・売上目標を達成する
ことが中心だったとします。

ところが一つ上の等級では、
・後輩を支援する
・チーム全体の状況を見る
・他部署と調整する
・自分が担当していない問題にも対応する
・周囲を巻き込みながら仕事を進める
といった役割が増えるかもしれません。

この場合、これまでの営業成績だけを見ても、次の役割を担えるかどうかは十分には分かりません。

【総合点だけで昇格を決める場合にも注意が必要です】

昇格基準として、
「成果評価80%+行動評価20%」
のように一つの総合点を作る方法があります。

分かりやすい方法ですが、成果が非常に高ければ、他の部分に課題があっても総合点では昇格基準を超えることがあります。

たとえば、
・個人成果は非常に高い
・しかし、周囲への支援は少ない
・他部署との調整を避ける傾向がある
という社員です。

現在の役割では高く評価できても、次の等級で「周囲を動かすこと」が重要になるのであれば、その点は別に確認したほうがよいでしょう。

【昇格は二段階で確認すると整理しやすくなります】

実務では、次のように分ける方法があります。
第1段階:現在の等級で十分に役割を果たしているか
・一定期間の人事評価を使って確認します。
・一度だけ高い評価を取ったかではなく、成果や行動がある程度安定して発揮されているかを見ることも重要です。

第2段階:次の等級で求められる役割を担える準備があるか
ここでは、過去の評価点だけではなく、
・少し難しい仕事を任せたときの対応
・他部署や周囲との調整
・後輩への支援
・判断が難しい場面での対応
・新しい仕事への適応
など、実際の仕事で確認できる行動を見ます。

【昇格前に「一つ上の仕事」を少し経験してもらう方法もあります】

昇格候補者には、いきなり役割を変えるのではなく、一つ上の等級で求められる仕事を一部経験してもらう方法があります。

たとえば、
・小規模なプロジェクトを任せる
・後輩指導を担当してもらう
・会議の進行役を任せる
・部門をまたぐ課題の調整を任せる
・通常より判断の幅が広い仕事を任せる
といった方法です。

そこで何ができたかだけではなく、
「うまくいかなかったときに、どう対応したか」
「周囲からの助言を受けて、どう行動を変えたか」
まで見ると、より多面的に判断できます。

【「将来性がある」という曖昧な判断には注意する】

一方で、
・「彼は将来性がある」
・「管理職向きだと思う」
といった印象だけで昇格候補を決めることにも注意が必要です。

こうした判断には、上司との相性、話し方、目立ちやすさなど、本来の仕事とは別の要素が入り込むことがあります。
そのため、昇格判断では、

【次の等級で何を求めるのかを先に明確にし、その役割につながる実際の行動や経験を確認する】

ことが大切です。

【昇格は「これまでのご褒美」だけではありません】

高い成果を出した社員に報いることは重要です。
ただし、その方法が必ずしも昇格とは限りません。
賞与、昇給、表彰など、現在の成果に報いる方法もあります。
一方、昇格は新しい役割と責任を任せることでもあります。
そのため昇格では、
【これまで何をしてきたか】
と同時に、
【これから何を任せるのか】
を考える必要があります。

人事評価と昇格制度をつなげる際には、「高評価だから昇格」と自動的に判断するのではなく、現在の役割での実績と、次の役割への準備状態を分けて確認すると、昇格後のミスマッチを減らしやすくなります。
The following two tabs change content below.

HALZ人事メディア

人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人HALZグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by HALZ人事メディア (全て見る)

公開日: 人事制度設計

PAGE TOP ↑