試用期間延長の可否と注意点

雇用契約書に「入社日より3か月を試用期間とし、試用期間は延長または短縮することがある」と明記して社員を採用したところ、入社1か月後に上司から、業務遂行能力が低いため試用期間を延長できないかとの相談がありました。弊社の就業規則には「試用期間は入社日より3か月とする。ただし、事情により短縮、免除、または3か月を限度として延長することがある」と定めています。試用期間の延長要件と、延長する場合の注意点を具体的に教えてください。

回答

雇用契約書及び就業規則に試用期間の延長に関する定めがあるため、業務遂行能力等について合理的な理由が認められる場合には、試用期間を延長することが可能と考えられます。

今回のように業務遂行能力を理由とする場合は、「仕事ができない」「物覚えが悪い」といった抽象的な評価ではなく、①どの業務についてどのような能力不足・ミスがあるのか、②採用時に求めていた能力・職務内容、③これまでの教育・指導内容、④指導後の改善状況、⑤今後の改善可能性等を具体的に確認し、追加の指導・評価期間が必要であることを整理することが重要です。

延長する場合は、延長理由、延長期間、延長期間中に求める改善事項等を本人に説明し、書面で明確にしておくことをお勧めします。また、延長期間中も適切な教育・指導を行い、その内容や本人の改善状況を記録してください。

延長期間については、就業規則上「3か月を限度」としているため、当初3か月に加えて最大3か月、試用期間全体として6か月まで延長する余地があります。ただし、6か月まで延長できることが法律上当然に認められるものではなく、試用期間は適性判断に必要な合理的な期間とする必要があります。そのため、必要性を踏まえ、必要最小限の期間にとどめることが適切です。

なお、延長後に本採用を拒否する場合には、能力不足等について客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるかを別途慎重に判断する必要があります(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日判決)。
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