公務員の副業って?!

公務員です。副業をしたいのですが、必要な手続きはありますか?詳細に教えてください。

回答

【公務員が副業・兼業を行う際の手続き・法的根拠まとめ(2025年10月時点)】
■ 1. 基本原則(国家・地方共通)
原則:公務員は許可なく営利企業等の業務や報酬を伴う兼業を行うことはできません。
公務の公正性・職務専念義務・信頼保持の観点から厳格に制限されています。
ただし、任命権者(または所轄庁長)の許可を得た場合は例外的に可能。
特に「地域貢献型」「職務に支障がない」兼業は、近年柔軟に認められつつあります。

■ 2. 国家公務員の場合
 ◎法的根拠
  国家公務員法 第103条・第104条
  第103条:営利企業の役員・自営の禁止(報酬有無を問わず原則禁止)
  第104条:報酬を得る継続的な兼業の許可制
  ※許可権は政令により「所轄庁長」に委任されており、実務上は各省庁の人事部門が窓口です。
 ◎ 許可が必要なケース
  継続的に報酬を得る講師業、顧問、原稿執筆など
  自営業・法人設立・兼職など
 ◎ 許可不要のケース
  単発の講演や寄稿など、継続性がない一時的な報酬行為
  ただし、利害関係者からの依頼や守秘義務違反となる場合は不可。
 ◎ 手続きの流れ
  所属部署の人事担当に事前相談
  兼業申請書を提出(業務内容・報酬・時間・契約書添付)
  所轄庁長が審査 → 許可/不許可を通知
  許可後も内容変更・報酬変動時は再申請
 ◎ 違反時のリスク
  無許可の兼業は「懲戒処分(戒告・減給・停職など)」の対象
  守秘義務・利益相反に抵触すれば、許可後でも取消の可能性あり

■ 3. 地方公務員の場合
 ◎ 法的根拠
  地方公務員法 第38条(営利企業への従事等の制限)
  総務省通知(令和7年6月11日付・総行公第72号)
  「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について」
  この通知により、自治体は許可基準の明確化と公表を求められ、地域貢献型副業への柔軟な対応が                                   
  促されています。
 ◎ 手続きの流れ
  自治体の人事課で申請様式・基準を確認
  「兼業許可申請書」に兼業内容・報酬・勤務時間・利害関係回避策等を記入
  任命権者(市長・知事など)が審査し、許可・不許可を決定
  許可後、内容変更や新契約があれば再申請
 ◎ 許可されやすい例
  地域活性化・教育・福祉などの地域貢献型副業
  執筆・講師など本務と競合しない業務
 ◎ 許可されにくい例
  本務と競合する業種
  利害関係先での勤務
  勤務時間・健康に影響する長時間労働

■ 4. 準備すべき主な書類
 ・兼業(副業)許可申請書 ・・・所属組織が定める様式
 ・業務内容説明書      ・・・従事内容・時間・報酬・期間
 ・契約書または覚書    ・・・兼業先との契約関係を明示
 ・兼業先資料       ・・・定款・会社概要など
 ・上司意見書       ・・・所属長の承認・影響有無の確認
 ・誓約書         ・・・守秘義務・利益相反回避の誓約

■ 5. 税務・社会保険の留意点(共通)
 ・兼業による所得がある場合は確定申告が必要
 ・住民税の徴収方法(特別徴収/普通徴収)は人事課へ要確認
 ・社会保険の扱いは勤務時間により異なる(税務署・年金事務所で確認)

■ 6. 処分・リスク事例(抜粋)
 ・許可を得ずに講師・アルバイト・事業経営を行った場合、
 ・懲戒処分(戒告・減給・停職等)となった実例が複数存在。
 ・特に「営利企業の役員就任」など第103条違反は厳格に扱われます。

■ 7. 実務アドバイス
 ・まず所属人事課に必ず相談(書面申請前に内容確認)
 ・兼業内容・時間・報酬・関係性を具体的に説明
 ・職務に支障がないこと、利益相反がないことを明確化
 ・許可後も内容変更があれば速やかに再申請

■ 8. 要点まとめ
区分      国家公務員            地方公務員
法的根拠    国家公務員法103・104条      地方公務員法38条
許可権者     所轄庁長(政令委任)      任命権者(知事・市長など)
主な基準    職務支障・利益相反・守秘義務   職務支障・地域貢献・公平性
許可の傾向   一般的に厳格            近年は柔軟化(総務省通知)
手続き     所属庁へ申請           自治体の人事課へ申請

■ 9. まとめの結論
 ☆公務員の副業・兼業は「原則禁止+許可制」。
 ☆法的根拠・手続き・運用は明確に制度化されており、2025年の総務省通知により地方では柔軟な
  運用が進行中。
 ☆最終判断は所属機関の人事課・任命権者の許可によります。
 ☆無許可での兼業は懲戒の対象になるため、必ず事前相談・申請を行うことが重要です。
The following two tabs change content below.

HALZ人事メディア

人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人HALZグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by HALZ人事メディア (全て見る)

公開日: 労務管理

PAGE TOP ↑