労働時間の考え方:「研修・教育訓練」の取り扱い

研修・教育訓練はすべて労働時間になるのでしょうか?

回答

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。
使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。

研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は労働時間に該当しません。

※研修。教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、
 事実上参加を強制されている場合には、研修・教育訓練であっても労働時間にがいとうします。

労働時間に該当しない事例

①終業後の夜間に行うため、食事の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会

②労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人または先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練

③会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない


労働時間に該当する事例

①使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポート提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修

②自ら担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際に業務に就くことができないとされている場合の業務見学


ワンポイントアドバイス

・労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を行うよう指示しておらず、かつ、その「研修・教育訓練」を開始する時点において本来業務や本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよいことについて、あらかじめ労使で確認しておきましょう。

・具体的には、「研修・教育訓練」について、通常の勤務場所とは異なる場所を設けておこうことや、通常勤務でないことが外形的に明確に見分けられる服装により行うことを定め、こうした取扱いの実施手続きを書面により明確化することが望ましいと考えられます。
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