社員個人の成長を促すには

部下の中でもう一皮、殻を破って成長してもらいたいと思っている部下がいるのですが、会社の仕組み(人事制度など)を使って、今の壁を打ち破ってもらう方法などありますでしょうか。

回答

ご質問ありがとうございます。
管理職にとって、自分の部下の成長は気になるものです。もっと成長できると思うけど、なかなか思うように行かないことも多々あると思います。
昨今の経営環境が変化する中で、いままでにない課題へのチャレンジや今までの専門性役割を越えた部分もあり、部下個人としても、いわゆる「壁」を越えてもらわないといけない部分も増えてくると思います。
このような場合、会社の仕組み(人事制度など)を使って「壁」を越えていくためには、まず最初にできる部分としては、「役割の再定義」があります。今までの自分の専門性からくる思い込みの形で役割を築いてしまっている場合もありますので、様々な状況変化を踏まえて上での期待する役割を再定義してあげることもポイントだと思います。通常、人事制度の中の等級制度などにおいて役割などを明記されていることが多いと思いますが、割と抽象的な表現が多いため、個人によっての認識が異なる可能性もあるので、管理職としては、しっかりと、その定義に基づいてのその本人の役割を示してあげて、期待を示すことが必要となります。管理職層であれば、経営ビジョンや経営課題を意識することが多いと思いますが、一般職層においては、そこまで意識できていないことが多く、また、理解も認識もできないことが多いものですので、個人の取り組む仕事について適切な意義づけを行うことが、意欲や仕事に関わる学習も異なってきます。例えば、目標設定などの機会があるときには、ただ目標を上げてもらうのではなく、等級定義などを参考にし、かつ、管理職(上司)として期待している役割を説明して、目標等を上げてもらうやり方が良いこととなります。ここで上司としても「定義を見て設定してね」ではなく、しっかり説明する機会を作った方が認識の違いが発生することを防ぐことができます。社会心理学の理論でも知られる「誤った一致感」と呼ばれるバイアスがかかってしまうことがありますので注意が必要です。(誤った一致感:「他の人の価値観、動機づけ、好みは、自分のそれと実際よりも似ているとみてしまう傾向」)
このようなことに注意して目標設定時や目標設定後の確認の機会(面談等)で認識を合わせていく必要があります。
あとは、目標に基づいて業務を遂行するに当たっては、その部下本人の仕事に対する「自信」と「能力」の高低によって、励まし(ストローク)を増減させていくこともポイントとなります。(例えば、自信が高く、能力も高い場合は、励まし(ストローク)は少なく、ポイントポイントで行い、自信が高くなく、能力も高くない場合は、励まし(ストローク)を増やしてあげる。)
また、仕事の意義を再認識してもらうための個人的な取り組みとしてジョブ・クラフティングを行うことも効果がありますので、行ってみたはいかがでしょうか。
そのほかにも多くの方法、手法がありますが、まずは、今ある仕組みの中のものをうまく活用していくことから始めてみてください。
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