通勤手当の管理方法

当社では通勤手当として、3か月分の通勤定期代を支給しています。この度通勤手当に関して社内調査をしたところ、定期を購入していない者、会社に届出ている通勤経路とは異なる経路の定期を購入している者、一部区間のみ購入している者など、様々な実態が出てきました。防止対策や不正の起こらない仕組みについてのアドバイスをお願いします。

回答

通勤手当の不正受給を防ぐためには、以下のような手段が考えられます。悪質な場合は、懲戒処分や過払い分の返還請求も可能です。また、終業規則と給与規定についても、支給対象者、支給限度額、算出方法等を確認し、支給条件を明確化することも必要です。

(1)就業規則、給与規程で、通勤手当の支給に関する決まりを設ける。
(2)入社時、住所変更時には「通勤手当支給申請書」を提出してもらい、その申請書では通勤経路と通勤定期代を申告してもらう。
(3)本人から申請のあった金額や経路を会社側も必ずチェックをし、妥当かどうかを判断する。
(4)定期券面のコピー、あるいは購入時の領収書の提出を義務付ける。
(5)不正受給が発覚した場合の返還請求期間、懲戒処分の内容などを就業規則等に規定する。
(6)定期券を支給する ※労働組合と労働協約を締結する必要があり、労働組合のない会社ではできません。

どのように規制するか
 就業規則、給与規程では、通勤手当の支給要件として「最も合理的で経済的な経路によるもの」との
制限を設けるケースが多いですが、判断が伴う表現なので若干注意が必要です。通勤経路が複数あり、所要時間に大差がない場合には、通勤定期代の安い方の経路を会社が指定することも可能です。
 不正受給が発覚した場合には、過払分を遡って返金してもらうようにします。賃金の過払いにあたりますので、賃金控除に関する労使協定の規定があれば、給与から過払い額を控除することができます。返還請求の時効は民法が適用され、過去10年分まで遡って返還請求が可能です。
 最近では、システムを利用して申請を行うこともできますので、サービス内容や機能に制度を合わせていき、煩雑な手続きを効率化することも可能です。
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公開日: 賃金

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