2021年に労働者派遣法が何か変わるのですか?

労働者派遣の会社ですが、来年また労働者派遣法に改正があると聞きました。
どのようなことが変わるのでしょうか?

回答

確かに2021年に改正がありますが、今回は省令・指針の改正で、運用の改善や曖昧だった点の明確化を目的としたものであり、これまでの運用を大きく変えるものではありません。

2020年7月の労働力需給制度部会において行われた「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」を踏まえ、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」等が10月9日に公布され、以下のとおり、2021年1月1日および2021年4月1日から施行されることとなりました。
大きな変更はありませんが、来年の1月の施行に備え、早めの対応が必要となります。

<2021年1月1日施行>
(省令改正概要)
①派遣社員の雇入れ時の説明の義務付け
派遣会社に対し、派遣会社が実施する教育訓練および希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、派遣社員に対する雇入れ時の説明を義務付けること
 【周知努力義務から説明義務へ】※省令改正に伴い派遣元指針も同様に改正

②労働者派遣契約に係る事項の電磁的記録による作成について(e-文書法)
e-文書法の省令改正により、労働者派遣契約を書面により作成することとされている労働者派遣契約について、電磁的記録により作成することも認めること

(派遣先指針改正概要)
③派遣先における派遣社員からの苦情の処理について
派遣社員からの労働法令に関する苦情があった場合、派遣先も主体的に対応すべきことを派遣先指針に明らかにしたこと

(日雇指針改正概要)
④日雇派遣について
派遣契約の中途解除が行われた場合について、必要な雇用管理が適切に行われるようにするため、派遣会社は、新たな就業機会の確保ができない場合であっても、休業等により雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすべきことを明らかにしたこと

<2021年4月1日施行>
(省令改正概要)
①雇用安定措置に係る派遣社員の希望の聴取等
派遣会社は、雇用安定措置において、派遣社員の希望する内容を聴取しなければならないこととするとともに、その聴取結果を派遣元管理台帳に記載しなければならないこと

②常時インターネットでの情報提供について
派遣会社による情報提供の義務がある全ての情報について、常時インターネットの利用その他の適切な方法により情報提供しなければならないこと
 【事業所への書類の備付けの削除】※省令改正に伴い派遣元指針も同様に改正
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