会社が負担した転勤に伴う転居費用は社会保険の対象になる?

このたび他県に営業所を構えることとなりました。

本社所属の者を異動させるのですが、うち1名が現住所からでは通勤困難とのことで、引越することとなりました。会社の命で異動させるので、会社の転勤規程により転居費用を会社が負担します。

この転居費用について社会保険や所得税の取扱いはどのようになるのでしょうか?

なお、会社が負担する費用は以下となります。
(1)転勤にかかる交通費
(2)家財等の運送費
(3)賃貸住宅契約のための初期費用(敷金、礼金、仲介手数料等)

回答

質問の各項目について支給額が明記されておりませんので、いずれも実費支給として回答します。

<所得税>
「転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの」は非課税となります。(所得税基本通達9-3)よって(1)は非課税となります。(2)も同様です。
しかし、(3)については旅費の範囲を超えていると考えられるため、給与所得となり課税処理が必要です。

<健康保険、厚生年金保険の報酬にあたるか>
「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいいます。
(健康保険法第3条第5項、厚生年金保険法第3条第3項)
事業主が負担すべきものを被保険者が立て替え、その実費弁償を受ける場合、労働の対償とは認められないため、「報酬等」に該当しません。
よって(1)から(3)いずれも報酬となりません。

<労働基準法の賃金にあたるか>
賃金は「使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされていますが(労基法第11条)、以下は賃金となりません。
・任意的、恩恵的なもの(結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金など)
・福利厚生的なもの(資金貸し付け、社宅貸与などの福利厚生給付など)
・企業設備・業務費(制服・作業衣、出張旅費、交際費など)

貴社の転居費用負担は、「企業設備・業務費」にあたると考えられ、(1)については賃金となりません。また(2)と(3)は、会社の命により転居を余儀なくされたために発生した費用であり、出張旅費と同内容のものと考えられるため、賃金にはあたらないでしょう。

なお、上記「任意的、恩恵給付」については、労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件の明確なものは賃金となります。(昭和22.9.13発基第17号)

<雇用保険の給付や労働保険料の算定基礎となるか>
雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下、徴収法)においても、賃金とは「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」とされています。
(雇用保険法第4条第4項、徴収法第2条第2項)
実費弁償的なものは、労働の対償ではないとされ、賃金となりません。よって(1)から(3)いずれも賃金となりません。


貴社で支給される費用が、実際に要した額を上回る場合は、この限りではありません。貴社の規程を再度ご確認下さい。
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SR人事メディア編集部
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