所定労働日数が定められていないアルバイト社員は年次有休休暇は取得できない?

当社のアルバイトスタッフは週の契約日数(労働日数)を特段定めておらず、本人の都合のよい日数を毎月決めて出勤しているため、契約書は作成しておりませんでした。(対象者は他の事業所と掛け持ちで働いており、他の事業所での勤務を主として、空いた日を当社での勤務に充てていました)

年間で平均を計算すると週2日程度の勤務です。

 

先日、その対象者から有給休暇の有無を尋ねられたため「月の契約日数が決められないので出勤率が算出できないため発生しません」と担当者が答えたところ、「労働基準監督署に聞いたら発生すると言われた」と再度問い合わせがありました。どのように対応すべきでしょうか。

回答

週2回程度勤務のアルバイトであっても、会社に雇用されている労働者に変わりはありませんので年次有給休暇を始め労働基準法の適用対象者となります。
なので、年次有休休暇付与の要件(雇われた日から6か月継続経過していること、その期間の中の全労働日の8割以上出勤したこと)を満たしていれば、所定労働日数を定めているかどうかに関わらず、年次有休休暇を付与する必要があります。

なお、週の所定労働時間が30時間未満の労働者の場合、勤務日数によって年次有給休暇の日数が比例付与されます。週の所定労働時間によって年次有給休暇の付与日数が異なりますので、まずは週の所定労働日数を確認する必要がございますが、本件のように所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出します。

・年間労働日数 169日~216日 → 所定労働日数4日
・年間労働日数 121日~168日 → 所定労働日数3日
・年間労働日数  73日~120日 → 所定労働日数2日
・年間労働日数  48日~ 72日 → 所定労働日数1日


週所定労働日数が2日程度であれば、雇用後6ヵ月経過時に3日、以降、1年経過する度に、4日、4日、5日、6日、6日、7日、以降は、7日の付与日数が法定事項となっております。勤続年数に合わせて最低でもこの日数は付与しなければなりません。
リンク:年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。(厚生労働省)


また、今回のご相談では過去の実績をもとに年次有給休暇付与日数を算出することができましたが、雇入れ時に雇用契約を結んでいなければ今後も同様の問題が発生することが想定されます。トラブルを未然に防ぐためにも、雇入れ時に雇用契約書を作成し対象者へ提示、同意を得ることをお勧めします。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日:

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑