上位5%の人事パーソンになるために必要な「渉外力」とは?
藤田です。
毎日、様々な企業の人事パーソンと接していて、また弊社で中途採用をするために人事出身の人材と会っていて感じることがあります。
それはヒトと接することが専門である仕事であるにもかかわらず、対人渉外力や、交渉力がある人材が意外と少ない、ということです。
人事部門はスタッフ部門なので、目線は社内にいきがちです。社外で接する人間は、研修会社や、採用支援会社、紹介会社やコンサルタント、という「業者」(一段下に見ている印象のあるこの言葉は嫌いですが・・)のみ。社内でも、大きな会社ですと、人事部門はまだまだエリートである、というところも多いですし、人事情報を握っているということで、現場社員から「一目置かれている」(よくも悪くも)ところもあります。
そうすると、このような環境下では、やもすると「汗をかいて、知恵を絞って、気を使って、他の人にYESと言ってもらう」という場面は圧倒的に少なくなりますし、数十年も経つと、もはや対外的な渉外力が身に付いていないという人材も多いようです。
しかし、本来人事ほど渉外力が求められる仕事はないはずです。例えば新たな人事制度を施行する際には、検討メンバーに現場のキーマンに入ってもらわなければいい制度はできないですし、本来の業務を抱える、現場のできる人材に参画してもらうには、普段のコミュニケーションや交渉が物を言います。
また、制度を策定した後、現場で運用してもらうには、とかく変化を嫌う現場を説得し、機能させるため、粘り強く制度の趣旨と内容を告知し、キーマンに積極的に動いてもらう必要があります。
私の経験を振り返っても、企業人事にいたとき、常に考えていたのでは、いかにいざというとき現場の力を借りるために、普段から、コミュニケーションをとっておくか、ということでした。
最初の会社は大手製パンメーカーでしたから、ラインに人が足りないときには、「僕がいますよ」と真っ先に手を挙げて、大汗かき、「チョココロネ」などをこねながら、現場の人の信頼を得るように勤めていました。そうした普段からの積み重ねとコミュニケーションがあるから、「藤田のためなら」といざ採用や研修、制度で工場の強力が必要になるときなど、快く力を貸しくれるわけです。
これは、社外でも全く同じです。採用会社や研修会社、コンサルタントも人間ですから、「お金をはらっているから」といって無理難題を押し付けていたのでは、良い仕事はできませんし、彼らをパートナーとして認めながら、交渉や渉外をすることではじめてフィー以上の成果を出してくれるのです。
ただ、スタッフ部門の立場では、環境からよほど意識していないとこうした渉外力は営業部門等に比べて身に付きにくいのも事実です。
ですので、弊社では、若手のうちから社労士事務所&人事コンサル会社であるにもかかわらずテレマーケティングをやらせたり、若手のうちは営業会議に出席させたり、購買を担当させてとことん交渉をさせたりと、ことあるごとに「商人魂」を身につける機会をつくっています。
よく「20-80」の法則として、上位2割の人が世の中を動かしていると言われることがありますが、「常に上位に入り続ける人」となると全体の5%~10%というのが実際のところでしょう。
人事スタッフとしていえば、実感値として「人事の専門性」に加えこうした「渉外力」を身につけている人こそ、そうした「どこへ行っても通用する人事パーソン」だといえるのではないでしょうか。
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