ベテラン社員が変わらない?“対話”で変化を生み出す3つの問いかけ

社員の中に「仕事はできるけど、変わろうとしない人」がいます。制度や方針を伝えても受け流されたり、変化を拒むような反応をされてしまいます。どうすれば前向きな変化を促すことができるでしょうか?

回答

新しい制度ややり方を導入するとき、若手は柔軟に適応してくれるのに、一部のベテラン社員から「それって本当に必要なの?」といった反応があり、空気が止まってしまうことがあります。

仕事はしっかりこなしてくれているだけに強くも言いづらく、でも変化してもらわないと、周囲に悪影響が出てしまう・・・
そんな状況に悩む場面が増えてきました。

A. 否定から入らず、“問いかけ”で本人の気づきを引き出しましょう。
「変わろうとしない人」も、実は心の中ではモヤモヤを抱えていたり、
過去の経験から「変えるより守る方が安全だ」と感じていることが少なくありません。

そんなとき、正面から「変わってください」と言っても逆効果。
まずは、本人の内側にある考えや価値観を丁寧に引き出す対話から始めるのが効果的です。

✅ 変化を引き出すための3つの問いかけ
①「このやり方のどこが良いと感じていますか?」
相手の現状の行動ややり方を頭ごなしに否定せず、まずは良い点を聞いてみましょう。
・ポイント:過去の経験や成功体験に敬意を払う
・例:「この手順を続けている理由、どこに良さを感じているか聞かせてもらえますか?」

👉 相手が「認められている」と感じることで、防御反応がやわらぎます。

②「他にうまいやり方があるとしたら、どんな条件が整えばよさそうですか?」
すぐに「この新しいやり方に変えて」と言わず、「条件が整えば…」という仮定形の問いで、相手の発想を広げます。
・ポイント:“切り替え”ではなく“選択肢”として提示する
・例:「今のやり方を続けつつ、こういうやり方も使えたら便利かも、って思うことありますか?」

👉 「自分の考えが尊重されている」と感じられると、発言が前向きになっていきます。

③「次にやってみるとしたら、どんな一歩から始めてみましょうか?」
大きな変化を期待するよりも、まずは、できる範囲の一歩から一緒に考えます。
・ポイント:小さな行動を一緒に考えて「動けるイメージ」を持たせる
・例:「この部分だけ、新しいやり方を試してみるってどうですか?」

👉 「全部変えないといけない」というプレッシャーを避け、変化へのハードルを下げられます。

🔍 変化の芽は“本人の中にある”と信じることが出発点
人は、自分の中に納得や意味づけがない限り、行動を変えることは難しいものです。
「問いかけ」はその“納得”を引き出す鍵です。

育成や人事の役割は、無理やり変えさせることではなく、対話を通じて“自分で気づいて動き出すきっかけ”を提供することです。

✅ まとめ:変化しない人には、「説得」より「対話」から。
(NG対応)「これが正しいやり方だから変えてください」
(効果が薄い理由)防御的な反応を生みやすい

(NG対応)「もう昔とは違うんですよ」
(効果が薄い理由)相手の経験や価値観を否定してしまう可能性がある

(おすすめの対応)「どこに良さを感じていますか?」
(目的)現状を肯定的に捉える(防御を減らす)

(おすすめの対応)「他にやり方があるとしたら…?」
(目的)発想を広げる(可能性の認知)

(おすすめの対応)「まずはどこからやってみますか?」
(目的)小さな一歩を促す(行動のハードルを下げる)

上記の問いかけは、ベテラン社員だけでなく、誰に対しても効果的な“関わり方の技術”**です。
変化は、外から押しつけるよりも、内側から芽生える方がずっと力強く、持続します。

まずは、目の前の一人に、丁寧な問いかけから始めてみてください。
きっと、ゆっくりと、でも確かに、変化の兆しが見えてきます。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 人事制度設計

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑