インセンティブにも割増賃金は必要?

給与計算において、固定給とは別に、毎月の営業成績に応じて、インセンティブ手当を支給しています。
この場合、残業手当の計算はどうなりますか?
インセンティブ手当分の扱いをご教示ください。

回答

結論から申しますと、インセンティブ手当にかかる割増賃金を、通常の残業手当とは別に計算し、支払う必要があります。
なお、「インセンティブ手当」は労働基準法の定めるところの「出来高払制」による賃金として、ご案内します。

▼労働基準法施行規則第19条第1項第6号
出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

ポイントは、インセンティブ手当分を「総労働時間」で除して単価を算出します。その単価に時間外労働であれば0.25、休日労働であれば0.35、深夜労働であれば0.25をかけた割増単価を計算し、それぞれの時間数をかけて、求めることとなります。
なお、「1」の部分に関しては、歩合給の中に含まれているものとされています。
(昭23.11.25 基収第3052号)

以下、具体的な計算例を挙げます。
<条件>
基本給: 320,000円
インセンティブ手当: 100,000円
総労働時間:200時間
時間外労働時間:20時間
<計算方法>
インセンティブ手当100,000円 ÷ 総労働時間200時間 = 500円
① × 0.25 × 時間外労働時間20時間 = 2,500円

具体的な計算式は、下記、京都労働局の資料に具体的に記載されておりますので、参考にしてください。
▼割増賃金 (労基法第37条) 算定方式
https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/var/rev0/0124/6622/ka_141113.pdf

通常の残業手当とは計算方法が異なり、またインセンティブ手当分として残業手当を別途計算する必要がございますので、ご注意ください。
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公開日: 賃金

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