貸与物の取り扱いについて

お世話になっております。
従業員が退職いたしましたが、貸与しているパソコンが返却されません。
パソコン代を最後の賃金から控除することは可能でしょうか。

回答

従業員が退職した際に貸与しているパソコンが返却されなかった場合でも、パソコンの代金を最後の賃金から控除することはできません。
労働基準法では、賃金からの控除が行えるものとして以下の項目を列挙しており、法令に定めがある場合や労使協定による場合を除いて、使用者が勝手に賃金から控除することはできません。

●所得税、住民税、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料
●労使協定で定めた項目

また、労使協定で締結できるのは、賃金を控除する日(賃金支払日)に金額が確定している積立金や社宅費用などです。
貸与していたパソコンの代金は、退職時点でいくらになるのか確定できないため、労使協定で締結できる項目には該当しません。

従業員が返却を行わない場合には、以下の手順でご連絡されることをお勧めいたします。
① 連絡を取る: 従業員に対して、パソコンの返却をお願いする連絡をします。文書での連絡が物的証拠として残りますので、効果的です。
② 確認書の送付: 返却期限を設けた確認書を送付し、期日内に返却されない場合の対応について明記します。
③ 内容証明郵便: それでも返却されない場合、内容証明郵便を送付して正式な返却要求を行います。
④ 法的手段: 最終的に必要であれば、法的手段(少額訴訟など)を検討することも考えられます。

法律上、パソコン代を賃金から控除が出来ない以上、まずはご本人様に対して円滑なコミュニケーションを心掛け、必要な手続きを踏んで解決を図ることが大事かと思われます。
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