社員がコロナ陽性に?コロナ禍の労務管理について
新型コロナウイルス感染症について、陽性反応が出た社員がいます。
該当社員以外にも、家族が感染し濃厚接触者になった者、まだ陽性反応は出ていないが感染の疑いがある者が出ており、コロナ過の労務管理を見直す必要が出てきました。
日に日に感染者が増えている状況で、気を付けるべきことはなんなのでしょうか?
回答
2021年現在猛威をふるう新型コロナウイルス感染症について、企業はその対応を必要とされています。
しかし状況は刻一刻と変わり、企業も対応を変えなければなりません。
今回は以下のポイントに絞って、コロナ禍における労務管理のポイントをお伝えします。
※なお、本日現在での情報を基に回答を作成しております。保健所の対応等実際とは少々異なる場合がございますのでご容赦ください。
・傷病手当金申請について
新型コロナウイルス感染症の 陽性・陰性を問わず通常の傷病手当金申請と同様に、 4日以上の休業の事実、医師による労務不能の判断が証明されれば支給対象となります。(業務外の感染である場合。業務起因の感染である場合は労災適用となる場合があります。)
・社員の感染が分かった場合
陽性が判明した段階で、当然に休業の対象となります。
この時、状況によっては入院勧告を受けたり、特定業種に就かれている場合には自治体の就業制限の通知を受けたりしますが、その場合にはそれにより休業をさせます。
しかし、このような勧告や就業制限がない場合にも、感染拡大防止の観点から休業させる必要があります。
社員を休業させる場合、労働基準法第26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。自治体の就業制限が出ている場合には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと厚労省の明言がありますが、後者の就業制限が出ていない場合には明言されていません。
しかし、「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、前記二つを満たすものであり、たとえ就業制限が出ていない場合でも条件を満たせば「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられます。
また、療養の状況にもよりますが、年次有給休暇の取得を勧める、傷病手当金の申請を検討する、可能な場合には在宅勤務を命じて給与を支払う、といった対応がございます。
「 可能な場合には在宅勤務を命じて給与を支払う」について、陽性と診断されても無症状のケースなど、在宅勤務に影響がない場合にはこのような対応も考えらえます。
・社員が濃厚接触者になった場合
保健所から該当社員に対し最低14日間の自宅待機要請がなされます。
この要請を踏まえて会社も該当社員の出社を控えさせる必要がございます。
この時、濃厚接触者となった社員は新型コロナウイルスに感染した(陽性である)とは断言できない状況なので、具体的症状が出ていない限り就労可能な状態であると考えられます。
とは言っても、この状態で出社を命じることは感染防止の観点から適当ではありません。
なので、在宅勤務が可能であれば在宅勤務を命じ、在宅勤務が難しい場合には自宅待機を命じるのが適当だと考えます。
※在宅勤務の可否に関わらず、上記と同様に年次有給休暇の取得を勧める・認める対応に問題はありません。
※在宅勤務可能な状態であるにも関わらず、在宅勤務を認めず自宅待機を命じた場合は休業手当の支給が必要になる場合がございます。
・社員に感染の疑いがある場合
息苦しさ・強いだるさ・高熱の有無、また基礎疾患の有無を目安に、感染拡大防止の観点から自宅待機・休業を命じることは可能です。
上記のような具体的症状が出ており、感染が疑われる段階では、出社を命じた場合感染拡大する恐れがあるため、社会通念上労務提供は不能と考えられます。
なので、感染の疑いのある社員を自宅待機・休業させた場合、法的には休業手当の支給の必要はないと解することが出来ます。
しかし、現状として無症状の感染者の増加など、症状の有無だけでは感染リスクをはかれず、休業手当の要否の判断が難しい状況がありますので、感染が確定しない段階では休業手当を支給するという対応もご検討いただければと思います。
・復職について
通常の傷病による休業と同様に、会社が就労可能と判断した時をもって復職となります。
感染者の場合、療養の形態に違いはありますが(入院・宿泊療養・自宅療養)、退院等の療養の解除を受ければ就労は可能となります。
しかし、退院後2週間程度は外出を控えることが望ましいとの行政見解もあり、この期間は在宅勤務もしくは自宅待機を命じるのが妥当だと考えられます。
濃厚接触者の場合、保健所等の指示による自宅待機を経て、通常通り就労できる健康状態であれば復職を命じることが出来ると考えられます。
感染の疑いがある場合、PCR検査が不要と判断されたり、発熱やその他の就労の妨げとなる症状が消失し、治癒したかどうかをもって復職可能か判断します。
目安として①発症後8日以上が経過②薬剤等を服用せず症状の消失後3日以上が経過していることがあげられます。
また、復職に際し「感染していないことの証明」としてPCR検査の陰性の証明を求める例があります。
しかし確固とした証拠となる検査は現状容易に受けれるものはなく、業務命令により陰性の証明を求めることはハラスメントに該当する可能性がありますのでご留意ください。
・社内への公表について
社内での感染が疑われる場合等、感染拡大防止や調査の観点から感染者、濃厚接触者の情報は社内で共有されるかと存じます。
原則として、社員の健康情報は要配慮個人情報にあたりますので、本人の同意がなければ第三者に提供することは出来ませんが、入院等で本人の同意を得ることが困難で合ったり、感染拡大防止のために迅速に対応を講じる必要がある場合などは、同意を得ずに第三者に情報を提供しても問題ないと考えます。
しかし、デリケートな情報であることには変わりありませんので、取り扱いにはご留意いただく必要がございます。
しかし状況は刻一刻と変わり、企業も対応を変えなければなりません。
今回は以下のポイントに絞って、コロナ禍における労務管理のポイントをお伝えします。
※なお、本日現在での情報を基に回答を作成しております。保健所の対応等実際とは少々異なる場合がございますのでご容赦ください。
・傷病手当金申請について
新型コロナウイルス感染症の 陽性・陰性を問わず通常の傷病手当金申請と同様に、 4日以上の休業の事実、医師による労務不能の判断が証明されれば支給対象となります。(業務外の感染である場合。業務起因の感染である場合は労災適用となる場合があります。)
・社員の感染が分かった場合
陽性が判明した段階で、当然に休業の対象となります。
この時、状況によっては入院勧告を受けたり、特定業種に就かれている場合には自治体の就業制限の通知を受けたりしますが、その場合にはそれにより休業をさせます。
しかし、このような勧告や就業制限がない場合にも、感染拡大防止の観点から休業させる必要があります。
社員を休業させる場合、労働基準法第26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。自治体の就業制限が出ている場合には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと厚労省の明言がありますが、後者の就業制限が出ていない場合には明言されていません。
しかし、「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、前記二つを満たすものであり、たとえ就業制限が出ていない場合でも条件を満たせば「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられます。
また、療養の状況にもよりますが、年次有給休暇の取得を勧める、傷病手当金の申請を検討する、可能な場合には在宅勤務を命じて給与を支払う、といった対応がございます。
「 可能な場合には在宅勤務を命じて給与を支払う」について、陽性と診断されても無症状のケースなど、在宅勤務に影響がない場合にはこのような対応も考えらえます。
・社員が濃厚接触者になった場合
保健所から該当社員に対し最低14日間の自宅待機要請がなされます。
この要請を踏まえて会社も該当社員の出社を控えさせる必要がございます。
この時、濃厚接触者となった社員は新型コロナウイルスに感染した(陽性である)とは断言できない状況なので、具体的症状が出ていない限り就労可能な状態であると考えられます。
とは言っても、この状態で出社を命じることは感染防止の観点から適当ではありません。
なので、在宅勤務が可能であれば在宅勤務を命じ、在宅勤務が難しい場合には自宅待機を命じるのが適当だと考えます。
※在宅勤務の可否に関わらず、上記と同様に年次有給休暇の取得を勧める・認める対応に問題はありません。
※在宅勤務可能な状態であるにも関わらず、在宅勤務を認めず自宅待機を命じた場合は休業手当の支給が必要になる場合がございます。
・社員に感染の疑いがある場合
息苦しさ・強いだるさ・高熱の有無、また基礎疾患の有無を目安に、感染拡大防止の観点から自宅待機・休業を命じることは可能です。
上記のような具体的症状が出ており、感染が疑われる段階では、出社を命じた場合感染拡大する恐れがあるため、社会通念上労務提供は不能と考えられます。
なので、感染の疑いのある社員を自宅待機・休業させた場合、法的には休業手当の支給の必要はないと解することが出来ます。
しかし、現状として無症状の感染者の増加など、症状の有無だけでは感染リスクをはかれず、休業手当の要否の判断が難しい状況がありますので、感染が確定しない段階では休業手当を支給するという対応もご検討いただければと思います。
・復職について
通常の傷病による休業と同様に、会社が就労可能と判断した時をもって復職となります。
感染者の場合、療養の形態に違いはありますが(入院・宿泊療養・自宅療養)、退院等の療養の解除を受ければ就労は可能となります。
しかし、退院後2週間程度は外出を控えることが望ましいとの行政見解もあり、この期間は在宅勤務もしくは自宅待機を命じるのが妥当だと考えられます。
濃厚接触者の場合、保健所等の指示による自宅待機を経て、通常通り就労できる健康状態であれば復職を命じることが出来ると考えられます。
感染の疑いがある場合、PCR検査が不要と判断されたり、発熱やその他の就労の妨げとなる症状が消失し、治癒したかどうかをもって復職可能か判断します。
目安として①発症後8日以上が経過②薬剤等を服用せず症状の消失後3日以上が経過していることがあげられます。
また、復職に際し「感染していないことの証明」としてPCR検査の陰性の証明を求める例があります。
しかし確固とした証拠となる検査は現状容易に受けれるものはなく、業務命令により陰性の証明を求めることはハラスメントに該当する可能性がありますのでご留意ください。
・社内への公表について
社内での感染が疑われる場合等、感染拡大防止や調査の観点から感染者、濃厚接触者の情報は社内で共有されるかと存じます。
原則として、社員の健康情報は要配慮個人情報にあたりますので、本人の同意がなければ第三者に提供することは出来ませんが、入院等で本人の同意を得ることが困難で合ったり、感染拡大防止のために迅速に対応を講じる必要がある場合などは、同意を得ずに第三者に情報を提供しても問題ないと考えます。
しかし、デリケートな情報であることには変わりありませんので、取り扱いにはご留意いただく必要がございます。
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公開日:
労務管理