「言ってもやらない頑固さん」の倒し方
突然ですがみなさん。どうしても言ったことをやってくれない人っていませんか?
先週注意したことを今週もやってくる。今週注意したことは来週もやってくる。天邪鬼なんだか忠実なんだかよくわかりませんが、何度言っても、くどくど言っても、怒鳴
ったって、手を出したって、絶対にやってこない。そんな人は身近にいませんか?
私は都合上よくよく子どもと接することがあったのですが、そうしたタイプの子が後を絶ちませんでした。私の友人知人と話をしていても、そうした人、特に後輩に手をやく人たちが意外と周りに多くいました。
そんなことで、今回はどうしても言ったことをやってくれない「頑固さん」をどうすれば動かすことが出来るのか、先人の胸をお借りしながら考えてみました。
と、その前に・・・
まず実際にあった例として私の失敗談を少しお話させてください。
私は以前塾で先生をしていまして、当時中学三年生の高校受験の男の子を持っていました。残念ながら彼は成績がなんとオール1!なんとしても成績を上げないと、公立高校に行けません。
なので親御さんは駆け込み寺として私の勤めていた塾にいらして、その子は勉強することになりました。
先生として私は、最初に彼の性格や勉強の仕方、生活習慣、親との仲など、勉強に纏わる様々な状況を把握すべくお話をするのですが、なんともその子は表情が固い。最初の半年は会話という会話はほとんどできず、首の振る向きと口の動きで彼の意思を読み取っていました。
途中からは会話してくれるようになったのですが、指導の上で大きな問題にぶつかりました。
それは宿題が無視されることです。勉強というのは、皆様ご存知のとおり、その日やったことをその日のうちに復習し、次の日にも復習し、一週間経ってもう一回復習する。そうしてやっと身に付くものです。
ですのでそれを私は宿題に出すのですが、こどごとくやってこない。
丁寧にクリアファイルに保存され、傷一つつけずに返ってきます。これでは指導にならないので、私はさんざん言いました。
「宿題をやってと言ったでしょ。やりなさい。」
それでもやりませんので次は、
「宿題をやらないと忘れちゃうから、やっておきなさい。」
これでもまだまだ動じません。
そろそろ私のハラワタも半茹でになり、「宿題をやらなければ出来るようにならない。このままだと私学単願(その学校以外どこにも受験しないことを宣言して受験することで、入学金を納入すれば合格させてもらえるという入試方法。こうした入試方法をとる学校はさほど多くはないため、行ける学校は限られる。)になるよ?なんのために塾に来たの?やる気を見せて。」
そうしてやっとこさ彼は宿題に手をつけたので私は大いに褒めましたが、皮肉かな次週の宿題はまっさらにして返ってきました。
他にもさまざま手を打ったのですが、以後の彼の指導はこれを何度もループしただけで、習慣を改善させることは出来ませんでした。
さてその子の受験が終わりだいぶ経ち、このことを忘れかけていた矢先に、私はある哲学者にめぐりあい、この子のことを思い出したのでした。
その人こそが今回、前置きが長くなりましたが、お伝えしたかった人なのです。
その彼こそが、古代ギリシアの哲学者、ソクラテスです。彼は無知の知で有名な哲学者ですが、私たちの生まれるずっと前に、「ソクラテスの産婆法」という画期的なものを生み出していました。
「ソクラテスの産婆法」とは、相手に質問をしていくうちに、決して答えを誘導したり無理に問いただしたりしなくても、相手が自ら考えを浮き彫りにすることで、矛盾が生じ、そうしてその矛盾に気付かせる術です。
こういうと難しいかもしれませんが、とても単純な方法です。
大事なことは、こちらが「無知のフリ」をすることです。「無知のフリ」をすれば、相手はめったにこちらに「正解」をもとめたりはしません。そういう状況で、こちらは相手に向かって質問をしていくのです。
「君はどうなりたいの?」
「そのためにはどうしたらいいんだろうか?」
「今の状況をどう思う?」
「ならば何をしたらいいのかな?」
「さあ、君が今すべきことって何だったの?」
そうして答えていくうちに自分の口から、私達が指示しようとしたことを、いやもっとも彼のことをよく知った人の口から等身大の決意を、表明してくれるのです。いや、せざるを得ないのです。
そして人から遣らされる事ではなく、自ら遣ろうとする事はその分やる気も備えていないわけがありません。
またそうすることで、「指示されないとやらない」のではなく「自ら考えて動く」姿勢を生み出すのだとも教育学では言われています。
これを聞いた後より、なにか言わないとならない方にはこの産婆法を用いてみると、その結果は多少いままでよりはやってくれるようにはなりました。
がしかし、効果はなくはないとは言え、スムーズに口を開いてくれる信頼関係や、その後のフォローも必要だとわかりました。
100%の成功法ではないとしても、行動のスタートを切るにはとても有効だと感じました。
言っても分からぬ馬鹿ばかり。そう溢されるあなた様。頑固な方に頭を悩ませられる貴殿に向けて。
そういう時は、どう接したらいいのでしょうか?私に教えてくださいませ?!
以上、16年卒内定者の五十嵐でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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